高等教育の修学支援新制度とは|専門学校の授業料減免と給付型奨学金
高等教育の修学支援新制度は、授業料・入学金の減免と、返還不要の給付型奨学金を組み合わせて進学を支える国の制度です。大学だけでなく、確認を受けた専門学校でも利用できます。
この記事では、専門学校で受けられる支援額、進学時期の要件、多子世帯の扱い、申込みの流れを、日本学生支援機構(JASSO)と文部科学省の公表資料にもとづいて整理します。
支援は「学費の減免」と「給付型奨学金」の2本立て
国が定める上限額の範囲で、進学先の学校が授業料と入学金を減額または免除します。手続きの窓口は学校です。
JASSOから毎月支給される、原則として返還不要の奨学金です。支援区分、学校の設置者、自宅・自宅外通学の別で金額が決まります。
2つは連動する制度です。給付型奨学金の支援区分が決まると、それに応じて授業料等減免の額も決まります。ただし申請は別々に必要なので、学校の案内に従って両方の手続きを漏れなく行ってください。
最初に確認したい「進学時期」の要件
社会人の学び直しで特に見落とされやすいのが、高校等を卒業してから進学・申込みまでの期間です。「高校卒業から2年以内」とだけ覚えると、予約採用と在学採用で起点が違うことを見落とします。
初めて高等学校等(本科)を卒業した年度の末日から、申込みを行う日までの期間が2年以内であることが原則です。在校生は在学中の高校等、既卒者は卒業した高校等を通して申し込みます。
初めて高等学校等を卒業した年度の翌年度の末日から、専門学校等へ入学した日までの期間が2年以内であることが原則です。入学後、進学先の学校を通して申し込みます。
例:2026年3月に高校を卒業した場合
在学採用では、2028年度末(2029年3月)までに専門学校へ入学していれば、期間の要件を満たします。卒業から数年働いたあとに入学する場合は、この要件で対象外になることが多いため、先に確認してください。
高等学校卒業程度認定試験の合格者には、別の期間の取り扱いがあります。また、過去にこの制度の給付奨学金を受けたことがある方は、原則として再度の新規申込みはできません。
進学時期の要件に当てはまらない社会人の方は、雇用保険の教育訓練給付を利用できる可能性があります。こちらは卒業からの年数を問いません。
いくら支援されるのか
給付型奨学金:専門学校(通学課程)の月額
| 支援区分 | 私立・自宅 | 私立・自宅外 | 国公立・自宅 | 国公立・自宅外 |
|---|---|---|---|---|
| 第1区分 | 38,300円 | 75,800円 | 29,200円 | 66,700円 |
| 第2区分 | 25,600円 | 50,600円 | 19,500円 | 44,500円 |
| 第3区分 | 12,800円 | 25,300円 | 9,800円 | 22,300円 |
| 第4区分(多子世帯に限る) | 9,600円 | 19,000円 | 7,300円 | 16,700円 |
給付型奨学金の月額は、昼間制と夜間制で同じです(授業料等減免の上限額は異なります)。通信教育課程は月額ではなく年額51,000円などの定めがあります。生活保護を受けている生計維持者と同居する方や児童養護施設等から通学する方には、別の金額が定められています。自宅外通学の金額を受けるには、通学実態の要件と証明書類が必要です。
「第4区分(多子世帯に限る)」と、判定表示の「多子世帯」は別のものです。第4区分には上表の給付月額があります。一方、JASSOの判定が「多子世帯」と表示される場合、給付型奨学金の月額は0円ですが、授業料・入学金は上限まで減免されます。
授業料・入学金の減免上限(住民税非課税世帯の場合)
| 専門学校の区分 | 授業料の上限(年額) | 入学金の上限(一回限り) |
|---|---|---|
| 国公立・昼間制 | 166,800円 | 70,000円 |
| 私立・昼間制 | 590,000円 | 160,000円 |
| 国公立・夜間制 | 83,400円 | 35,000円 |
| 私立・夜間制 | 390,000円 | 140,000円 |
私立の通信課程は、授業料の上限が年額130,000円、入学金の上限が30,000円です。学校へ実際に支払う額が上限より少ない場合は、その実額までが減免の対象になります。
住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合は、上の表の額の3分の2または3分の1が上限になります。多子世帯に該当する場合は、所得にかかわらず上の表の額が上限として適用されます。
誰が対象になるのか
1.進学先が対象校であること
支援を受けられるのは、国や都道府県などの確認を受けた「確認大学等」です。専門学校は学校数が多く、対象になっていない学校もあります。文部科学省が公表している対象機関のリストと、志望校の募集要項の両方で確認してください。
2.世帯の所得が支援区分の基準に該当すること
支援区分は年収で直接決まるのではなく、本人と生計維持者の住民税情報から計算する「支給額算定基準額」で判定されます。第1区分は、本人と生計維持者の市区町村民税所得割が非課税であることが目安です。家族構成によって同じ年収でも結果が変わるため、JASSOの進学資金シミュレーターや学校の窓口で確認してください。
3.資産の基準を満たすこと
本人と生計維持者の資産額の合計が5,000万円未満であることが条件です。多子世帯の授業料等減免については3億円未満とされています。対象になるのは現金、預貯金、有価証券などで、土地・建物などの不動産は含まれません。
4.学業・学ぶ意欲の基準を満たすこと
基準は申込みのタイミングで異なります。
- 予約採用 高校等での評定平均値が3.5以上であること、または十分な学修意欲が確認できること
- 在学採用 GPA等が在籍する学科等で上位2分の1の範囲に属すること、または修得単位数が標準以上であることなど
進学後も学業成績や修得単位数の確認があり、基準を満たさない場合は支援の停止・廃止となることがあります。
多子世帯の扱い
2025年度から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯の学生は、所得制限なく、国が定める上限まで授業料・入学金の減免を受けられるようになりました。ただし、資産基準、学業の基準、対象校であることなどの条件は残ります。
多子世帯と判定されれば、所得にかかわらず非課税世帯と同じ上限額が適用されます。
所得による支援区分に応じて支給されます。判定が「多子世帯」のみの場合、月額は0円です。
多子世帯の判定では、申込者本人が生計維持者に扶養され、扶養する子どもの数に含まれていることが必要です。上の子が就職して扶養から外れると、その後の判定で多子世帯に該当しなくなることがあります。判定には基準となる時点が定められているため、きょうだいの就職や進学が重なる家庭ほど、早めの確認が重要です。
いつ・どこで申し込むのか
- 進学先が対象校か確認する
文部科学省の対象機関リストと、志望校の募集要項で確認します。 - 申込ルートを選ぶ
進学前の予約採用は在学中または卒業した高校等から、進学後の在学採用は進学先の専門学校から申し込みます。 - 学校の期限までに申請する
締切日は学校ごとに異なります。案内が配られたらその場で期限を確認してください。 - 授業料等減免と給付奨学金の両方を手続きする
入学金の減免は入学した年度に申請する必要があります。入学手続の書類に案内が含まれていることが多いため、入学前後の書類は必ず目を通してください。
予約採用の募集時期は高校ごとに異なります。高校3年生は春のうちに先生や奨学金の担当へ相談してください。既卒者の窓口は、卒業した高校等になります。
あはき・柔整の養成校で確認したいこと
- その学校が対象校か。専門学校は対象になっていない学校もあります。
- 昼間部か夜間部か。給付型奨学金の月額は同じですが、授業料・入学金の減免上限は夜間制のほうが低く設定されています。
- 高校等の卒業から入学までの期間。社会人経験が長い方は対象外になることが多いため、教育訓練給付の検討に切り替えるのが現実的です。
- 減免後の自己負担額。上限額と実際の納付額は別なので、減免を受けた場合にいくら支払うことになるのかを学校へ確認してください。
最終的な支給・減免の可否は、JASSOと進学先の学校の審査によって決まります。正確な申込期限や必要書類は、高校の先生、進学先の学校、JASSOにご確認ください。
主な一次資料
日本学生支援機構「給付奨学金の支給額」
日本学生支援機構「進学前(予約採用)の給付奨学金の申込資格」
日本学生支援機構「支援区分の見直し(適格認定・家計)」
文部科学省「授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額」
文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
本記事は制度の理解を助けるための情報提供であり、個別の審査結果を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。情報基準日:2026年9月16日。


