教育訓練支援給付金とは|対象者・支給額・2027年3月31日の期限を解説

離職して学ぶ間の生活費を支える制度

専門実践教育訓練給付金が「学費」を支える制度なのに対して、教育訓練支援給付金は、離職して訓練を受ける間の「生活費」を支える制度です。専門実践教育訓練給付金の受給資格に加えて、年齢・離職の時期・通学形態など複数の条件があります。

この給付金は令和8年度末までの暫定措置とされており、受講開始日が2027年(令和9年)3月31日以前であることが要件です。この記事では、支給額、対象になる方の条件、見落としやすい対象外のパターンを、厚生労働省の公表情報にもとづいて整理します。

生活費への給付学費を支える給付とは別の制度
基本手当日額の60%2025年3月31日以前の受講開始は80%
受講開始時に45歳未満通信制・夜間制は対象外
2027年3月31日暫定措置としての受講開始期限。支給は2か月ごと

教育訓練支援給付金とは

教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練給付金の受給資格がある方のうち、一定の条件を満たす方が、失業状態で訓練を受けている間に受けられる給付です。学費そのものではなく、訓練期間中の生活を支えることを目的としています。

名称が似ていますが、2つは支える費用も対象者も異なります。

比較項目専門実践教育訓練給付金教育訓練支援給付金
何を支えるか学費(対象となる入学料・受講料)訓練期間中の生活費
在職中の利用要件を満たせば利用できる利用できない。受給資格確認時に離職していることが必要
年齢の要件年齢による一律の制限なし受講開始時に45歳未満
通学形態指定講座であれば夜間課程も対象になり得る通信制・夜間制は対象外
受講開始の期限同じ時限要件はない(申請の期限はある)現行制度では2027年3月31日まで

出発点は、専門実践教育訓練給付金の受給資格です。教育訓練支援給付金だけを単独で申請することはできません。受講する講座が厚生労働大臣の指定講座であり、ご本人が専門実践教育訓練給付金の受給要件を満たすことが前提になります。

2027年3月31日は「受講開始日」の期限

現行制度では、専門実践教育訓練の受講開始日が2027年(令和9年)3月31日以前であることが要件です。基準になるのは、申込日でも合格発表日でも入学手続の日でもなく、学校が証明する受講開始日です。

2027年4月1日以降に受講を開始する場合の扱いは決まっていません。今後、制度が延長または変更される可能性はありますが、延長を前提に進路の計画を立てることはできません。期限に近い年度で検討している方は、志望校の受講開始日と最新の制度状況をハローワークで確認してください。

厚生労働省の案内では、この制度は令和8年度末までの暫定措置と位置づけられています。期限内に受講を始めた場合の支給期間や個別の取り扱いは、受講期間、失業の認定、基本手当の受給状況などによって変わります。「期限内に始めれば必ず修了まで支給される」と考えず、事前にハローワークへ照会してください。

2027年4月以降はどうなるのか

決まっていません。この給付金は雇用保険法の附則で定められた暫定措置で、直近では2025年3月末までの期限が2024年の法改正で2年間延長され、そのとき支給率が80%から60%に引き下げられました。延長されるか、終了するか、条件を変えて延長されるかは、次の見直しで決まります。

2027年4月以降の入学を考えている方は、延長を前提に計画を立てないでください。期限の数え方、これまでの経緯、期限をまたぐ場合の判断は、次の記事で整理しています。

教育訓練支援給付金は2027年4月以降どうなる?

いくら受け取れるのか

2025年(令和7年)4月1日以降に受講を開始した方の支給額は、雇用保険の基本手当日額に相当する額の60%です。基本手当日額は離職前の賃金などから計算されるため、金額は一人ひとり異なります。支給は、訓練の受講中に2か月ごとに行われます。

2025年4月1日以降の受講開始

基本手当日額に相当する額の60%が支給されます。現在これから受講を始める方は、こちらが基準になります。

2025年3月31日以前の受講開始

従前の給付率である80%が適用されます。受講開始のタイミングで給付率が分かれる仕組みです。

基本手当日額の上限(2026年8月1日以降)

基本手当日額には年齢区分ごとの上限があります。この給付金の対象になる45歳未満の区分は次のとおりです。

年齢区分基本手当日額の上限上限額に60%を掛けた目安
30歳未満7,450円4,470円/日
30歳以上45歳未満8,270円4,962円/日

上表は上限額に当たる場合の単純計算です。実際の額は離職前の賃金等によって決まり、これより低くなるのが通常です。基本手当日額の上限・下限は原則として毎年8月1日に改定され、2026年8月1日以降の下限は年齢にかかわらず2,562円です。

基本手当を受けられる期間中は支給されません。この給付金は、基本手当と重ねて受け取るものではありません。基本手当の支給が終わったあとに対象となり得ます。待期期間や給付制限の期間も支給されません。3年課程に通う場合は、「基本手当の期間 → その後は支援給付金」という時間の並びで考えることになります。

対象になる方の主な条件

厚生労働省のQ&Aでは、次の条件が示されています。原則として、すべてを満たす必要があります。

  • 専門実践教育訓練給付金の受給資格がある
  • 離職日の翌日から原則1年以内に受講を開始する
  • 専門実践教育訓練を修了する見込みがある
  • 受講開始時に45歳未満である
  • 通信制・夜間制ではない講座を受講する
  • 受給資格確認時に一般被保険者ではない(離職している)
  • その後、短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者になっていない
  • 会社などの役員や自治体の長に就任していない
  • 教育訓練支援給付金を受けたことがない
  • 原則として教育訓練給付金を受けたことがない
  • 受講開始日が2027年3月31日以前である

教育訓練給付金の受給歴については、2014年(平成26年)10月1日前の受給に例外があります。役員であっても活動の実態や報酬がない場合など、個別の確認が必要な取り扱いもあります。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで受講を開始できない場合は適用対象期間の延長が認められることがありますが、その場合も資格喪失日から最大4年以内に受講開始日があることが必要です。

条件の数が多いため、「専門実践教育訓練給付金が使えるなら支援給付金も使える」という理解は誤りです。とくに過去に教育訓練給付金を一度でも受けていると原則として対象外になる点は見落とされやすいところです。

見落としやすい3つの対象外パターン

1.夜間部・通信課程を選んだ場合

対象になるのは、通信制・夜間制以外の専門実践教育訓練です。あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう・柔道整復の養成校には昼間部と夜間部の両方を置く学校が多く、働きながら夜間部という選び方も一般的ですが、その進路では支援給付金は使えません。学費を支える専門実践教育訓練給付金は夜間部でも対象になり得るので、学費の給付と生活費の給付で条件が違うと理解しておくのが実務的です。

2.在職中に入学し、途中で辞めた場合

判定の基準は受講開始日です。受講開始日に一般被保険者だった方は、その後に離職しても対象になりません。厚生労働省もQ&Aで明確に否定しています。仕事を辞めて学校に通う計画があるなら、離職が先、受講開始が後という順番が決定的に重要です。

3.離職から1年以上空けてしまった場合

離職日の翌日から原則1年以内に受講を開始する必要があります。受験のために1年以上のブランクを置く進路設計は、この条件に抵触します。延長の制度はありますが、理由と期限が定められています。

仕事を辞めて昼間課程へ進学する場合は、離職 → 受給資格確認 → 受講開始の順番が重要です。退職日や開講日を自己判断で決める前に、ハローワークへ相談してください。

手続きは受講開始前に進める

受給資格確認は、受講開始日の原則2週間前までです。その前にキャリアコンサルティングの予約とジョブ・カードの作成が必要なため、2週間前から動き始めるのでは間に合わない可能性があります。

  1. 指定講座か確認する
    厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム、学校、またはハローワークで、学科・課程ごとの指定状況を確認します。
  2. 支給要件を照会する
    ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出し、雇用保険の加入状況と受給資格を確認します。電話での照会はできません。
  3. キャリアコンサルティングを受ける
    訓練対応キャリアコンサルタントとの面談を受け、受講開始前にジョブ・カードを作成します。
  4. 受給資格確認を申請する
    必要書類を、受講開始日の原則2週間前までにハローワークへ提出します。本人が窓口へ行くほか、代理人来所、郵送、電子申請にも対応しています。
  5. 受講開始後、失業の認定を受けながら支給を受ける
    支給は2か月ごとです。専門実践教育訓練給付金は6か月ごとの申請で、サイクルが別になります。案内された日程を守ってください。

志望校が2〜3校に絞れた段階で相談を。同じ学校でも、学科や昼間部・夜間部によって指定状況が異なることがあります。出願の直前ではなく、候補が絞れた時点で、住居所を管轄するハローワークへ相談するのが安全です。

あはき・柔整の養成校を選ぶときの確認点

あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の養成課程は3年制が中心で、社会人が仕事を辞めて入学するケースも珍しくありません。生活費の給付まで含めて検討する場合は、次の3点を確認してください。

  • 志望する学科が指定講座か。学校単位ではなく、学科・課程単位で確認します。指定には期間があり、更新の状況にも注意が必要です。
  • 昼間部か夜間部か。通信制・夜間制は対象外です。生活費の給付を計算に入れるなら昼間部が前提になります。
  • 離職日と受講開始日の順番。受講開始時に離職しており、離職日の翌日から原則1年以内に受講を始める必要があります。

学費コンパスでは、専門実践教育訓練の指定講座を持つ学校を分野・都道府県から絞り込めます。昼間部・夜間部の別も掲載しているので、生活費の給付まで含めて検討する場合の出発点として使ってください。

自分が対象になりそうか、順番に確認する
いくつかの質問に答えると、4つの支援制度について「可能性あり/要確認/対象外」の目安がわかります。個人情報の入力は不要です。

30秒で診断する 学校を探す

最終的な受給の可否、支給額、支給期間は、住居所を管轄するハローワークの審査によって決まります。正確な要件と手続きは、窓口でご確認ください。

主な一次資料
厚生労働省「Q&A~専門実践教育訓練給付金~」(Q10・Q21・Q22)
厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年8月1日から)」
厚生労働省「専門実践教育訓練給付金のご案内」
厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム

本記事は制度の全体像を整理するための情報提供であり、個別の受給可否・支給額・支給期間を保証するものではありません。制度は改正されることがあります。情報基準日:2026年9月16日。

自分が使えそうな制度をまとめて確認

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